MAXI SINGLE『リリックトリガー』

リリックトリガーのジャケット画像

リリックトリガー / スムルース
(りりっくとりがー / すむるーす)

2006年3月8日発売
MAXI SINGLE / KICM-1161[KING RECORDS] / 税込1,000円
キャラクターデザイン:徳田憲治

リリックトリガー 収録曲(全2曲)

  1. リリックトリガー
  2. 大吉日〜SUSUMU〜

作詞&作曲:徳田憲治 編曲:スムルース&石田ショーキチ

今ある自信と、まだ見ぬ未来を輝かしく照らすスムルースという1等星

「永遠と孤独」が鼓動の主旋律となったアルバム『ドリーミーワームホール事典』が誕生し、ちょっぴり大人の懐の深さをも響かせた2005年のスムルース。「産道=ワームホールをテーマにしてただけあって、スムルースはこうだっていう、産声が上がったんじゃないかな」と徳田が言うように、バンドにとっても大きな自信となったアルバムである。ツアーでもより逞しく、ポジティヴなパワーを全開に全国各地の会場を湧かせたことも記憶に新しい。産声の後は、進むのみ、なのだ。

 そんな成長著しいスムルースが、2006年の第1弾として放つのがニュー・マキシ・シングル「リリックトリガー」。アルバムが産声だったなら、この曲はへその緒がとれたイメージ、だそうだが、いやはやそれだけには留まらずなにか新たな感触、手触りのある楽曲だ。≪星を観ていた 星が観ていた≫。そんなフレーズから歌ははじまる。ギターのフレーズは、夜空の星の瞬きのように、さまざまな光の強弱を映し、キラキラと楽曲一面に広がっていく。もっともこだわり抜かれたのは、この何層もに重ねられた美しい余韻のあるギターだ。
「音楽を聴く人って、音を聴いてるんやなくて、感じてるもんやと思ってるんですね。その感じてもらうポイントが、今回はひとつ高くなった気がします」(回陽健太)

 ソングライター徳田も、今回はシンプルに、各メンバーに委ねるようなデモを作り上げた。
「そのデモの段階での完成度が非常に高いというか、すでに心えぐられるものが僕はあったので。あまりごちゃごちゃさせんとこうっていうのは、意識してましたね。いかに、ソリッドにやるか、っていうか」(中嶋伸一朗)
「バンドとしての方向性はアルバムが納得いくものだったのもあって。それを覆そうという気持ちは今、僕にはないんです。あそこで出たものを突き詰めたい」(小泉徹朗)
 極力シンプルでありながら、表現力、音から立ち上がるイマジネーションは格段に広がった。なにかがこれまでとは違っている、とメンバーは感じていた。でもするりと曲は完成した。それも、アルバムがもたらした自信が、それぞれのなかで根付いたゆえだろう。
「藤子不二雄の短篇に、石ころひとつで歴史も変わるんだっていうのがあったんですけど。この曲も、石ころくらいの感じなんですよ。すごいのができたっていう感じがあるんですけど、なんかよくわからへんなっていうものやね、今の段階では。ここからなにか大きく得たものがあるはずなんですが。転機になる予感が、僕はしてますね」(徳田憲治)

 今回の歌のキーワードは「幸福の克服」。また独特のスムルース語録だが、今後も4人による幸せの形が発信されていくはず。結びのフレーズ≪名もなき星に名をつけよう≫――それがこの「リリックトリガー」なのである。

吉羽さおり

真実の愛に出会うと人は初めて本当の孤独を知る。
スムルースの『リリックトリガー』は孤独に臆することなく幸福に浸るための特効薬である。

「僕的には『リリックトリガー』はマリッジブルーの歌なんです」と開口一番に徳田憲治。メロウなイントロから動き出すほんのりメランコリックなメロディが、胸を切なくするスムルースのニューシングル『リリックトリガー』は、"幸福なんだけど涙が出てしまう"ハートを歌っている。愛する人に出会い、お互いの瞳にお互いの姿を映しながら永遠の愛を心に誓うなんて。とても幸せなことなのにどこか切ない。それは・・・・・・。

「歌詞にもあるんですけど"幸福の克服"というのがキーワードなんです。僕の統計によりますと、女性って20代後半から幸せというのを失うものとして捉えているんですよ。男って案外そのあたりを深く考えていなかったりするんですけど、女性は素直に幸せだと感じない。"無くなるかもしれない"と思っている、そのあたりの歌なんです」
 恋をして、失って、いくつもの傷を心に抱えていくうちに、人は幸福に対して臆病になっていく。特にそれは女性に顕著に出る傾向なのだ、と徳田は言う。

「僕的には、それって女の人特有だな、と思うんです。男と女の違いって絶対的にある、その精神的な違いっていうのは僕のテーマなんです。だから今回は女性目線の歌なんです。『冬色ガール』もそうだったんですけどね。
どうしても男の僕が描くので、男の思う女性目線なんですけど。でも幸せであるからほど孤独が怖くなる。それは男も女も一緒だと思うんですけど、女の人は幸福を感じられない、受け入れられない人が多い。"幸福の克服"が出来ない人。それが歌いたかった」

 今回の楽曲はギミック無しに4人で出すサウンドにこだわったという徳田。それにより、純粋にバンドで出す音だけで、シンプルな音数ながらもドラマティックかつメロウに響くサウンドが生み出されたのだ。
「『ドリーミーワームホール事典』を作ったことでそれぞれに精神的にも技術面でも成長が大きかったんです。だからこそ自信を持って、こういう存在感の大きな曲を作れたと思います。あのアルバムによって『リリックトリガー』は産声をあげたといえますね」

 幸福を知り、孤独を知る。心を往来する幸福感と孤独感。それでも孤独感を払拭するほどの幸福にいつか人は出会う。この曲を聴きながら幸福を克服したい。そしてこの曲に出会った人たちには皆、幸福に出会ったときに臆することなく幸せに浸って欲しい!

えびさわなち