ALBUM『ドリーミーワームホール事典』

ドリーミーワームホール事典のジャケット画像

ドリーミーワームホール事典 / スムルース
(どりーみーわーむほーるじてん / すむるーす)
2005年9月14日発売
ALBUM /KICS-1192[KING RECORDS] / 税込2,800円
キャラクターデザイン:徳田憲治

「ダイビング深海魚、ゴールデンクイズ、沈黙の花言葉、LIFEイズ人生」の視聴、ビデオクリップ公開中。
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ドリーミーワームホール事典 収録曲(全14曲)

  1. ダイビング深海魚
  2. ゴールデンクイズ
  3. コームテンワイフ
  4. ボクチャーハン
  5. 冬色ガール(Neo Winter Remix)
  6. 沈黙の花言葉
  7. LIFE イズ 人生+
  8. 想いは雨待ち夜空に消えていく
  9. 誰がために詩歌う
  10. ラブラブの花(Fragrance Mix)
  11. ダイサクセン大作戦
  12. 心を鳴らせ
  13. 無念無想2
  14. 万葉の夜に

作詞&作曲:徳田憲治
編曲:スムルース&石田ショーキチ

スムルースとあなたを繋ぐ14曲はあなたを包む大きな愛とあなたとも繋ぐ14曲。
ワームホールの先にある世界を見てみよう!

 スムルースのニューアルバムのタイトルは『ドリ−ミーワームホール事典』。ここで重要なキーワードになるのは"ワームホール"。これ実は"産道"という意味なのだそうだ。「オカンのお腹と世界とを繋ぐのが産道。つまりワームホールは繋げるものの意味なんです。個体と個体。人間と人間とは交わることがない。でも繋げるものは存在している。その"繋げるもの"である14曲がこのアルバムには収録されてます。目に見えない、形のないトンネルみたいなものです」(徳田憲治)
 交わることのない人と人とを繋ぐスムルースの曲たち。それはもちろんスムルースとリスナーとを繋ぐものでもあるけれど、聴いた人が世界を想えば世界と繋がり、聴いた人が誰かを想えばその相手の心に繋がるもの。なんだかこの14曲が、温もりに満ちたとても優しい存在に思えてくる。
 今作のテーマは"永遠と孤独"。永遠と孤独は同義語で同じ意味なのだ、と徳田は言う。「"ワームホール"を通る前、オカンのお腹の中にいるときのことを憶えてはいないけど、想像してみるとあの中にひとりでいるのって孤独な感じがする。でも絶対的なものに守られてる。これって実は今の僕らの状態にも似てるんです」(徳田)
 孤独だな、淋しいな、と思っていても、人は必ず何かに守られている。それは両親の愛かもしれない。恋人の愛かもしれない。夢を強く心に描く自分の想いかもしれない。仲間たちの想い、仲間たちへの想いかもしれない。孤独を感じていても、実際にはひとりじゃない。世界と必ず"繋がっている"のだ。そのことに気づいて、産道を通って、外の世界へと出かけようじゃないか。"永遠と孤独"とうまく折り合って、幸せになろう、というポジティヴを手に入れるためのきっかけアルバム。それが『ドリーミーワームホール事典』なのだ。
 そして特筆すべきは今作のスムルースの音。シンプルで、普段着感覚のラフさもあって、相変わらずのハッピー感。力を抜いてリラックスしながらレコーディングに臨む彼らの姿が伝わってくるようだ。デビューから1年と少しの時を経た分の"年輪"も感じさせる。恋の楽しさに弾けてキラキラしたハッピー感を漂わせた前作よりもちょっぴりオトナのオトコ的なスムルースを感じてしまうハズ。そんな"今"の彼らの"等身大"で鳴らすハッピー感をこのアルバムで堪能して!

Text By えびさわなち

4人が響き合い生み出した、あたたかに力強いコミュニケーション

アルバム『純愛サプリメン』からの1年――この時間が、スムルースにとってどれほどのものであったか。その答えが、ニュー・アルバム『ドリーミーワームホール事典』にはたっぷり詰まっている。今年に入ってリリースしたシングル"沈黙の花言葉""LIFEイズ 人生"で新たに提示された、男気あふれるバンド感に驚いたのは、まだまだ序の口。「永遠と孤独」というテーマ/核で結ばれた小宇宙とでもいう今作で、彼らはさまざまな表情と、豊かな進化とを見せている。以前のカラフルなポップさとは違う、共鳴感とユーモアに、大人のスムルースを感じるのだ。
「ヒダの多いアルバムだと思うんです。いろんなところで、いろんな罠を仕掛けてるから、個性的なものになってると思うんですけど。でも、どの曲も"常識人が作る変態ソング"って名付けたいんです。じつは、ヒダの部分よりも、いかに共感できる部分が多いかに力を注いでる」(徳田憲治/Vo&G)
 タイトルの「ワームホール」とは産道を意味する。胎内と外の世界とを繋ぐように、掛け橋であってほしい。それが共感の部分であり、同時に彼らは今、スムルースの音楽を通してさらなる温かなコミュニケーションを欲している。それが明確になったゆえ、4人はどこまでも自分たちの音の解釈を広げている。
「とにかく、音に対して貪欲でしたね。もっと突き詰めていいんじゃないかって。それは細かくなることじゃなくて、自分がこうしたいんだっていうのが、より出てきたんですよね」(小泉徹朗/B)
「いろんな音があって、それぞれの音のキャラも立ってると思うんですよ。一個、一個が、うるさいねん!っていう。そいつらがワーッとしてるからハッピー感も出てくるんじゃないかな」(回陽健太/G)
 基本は一発録り。レコーディング時のノリが抜群に封じ込まれたのは、言うまでもない。
「なかにはテンポ感とかリズムが似ている曲も、ドラムとしてはあったんですよ。でも実際にやってみたとき、それぞれで全然違うグルーヴ感が出ていて、バンドが成長しているのを改めて思いましたね」(中嶋伸一朗/Ds)
 こだわり抜かれた細部の面白さもある。でもまずは、終曲"万葉の夜に"で歌われる《あたたかい孤独》が意味する、誰かと深く優しく繋がる心強さと、そこから流れるポジティヴなエネルギーとを感じとってほしい。スムルースは今作でそれを気付かせてくれる。

Text By 吉羽さおり